たわわに実ったバナナ(実芭蕉)。(南城市玉城で撮影)
バショウ科の多年草。いわゆる「バナナ」のなる植物ですが、沖縄では昔から実(バナナ)を食べる以外に、茎の繊維から織られる布(芭蕉布)や紙(芭蕉紙)の原材料として長く活用されてきたため、多方面でウチナーンチュの生活に欠かせない植物でもありました。
沖縄人と芭蕉の深い関わりは、芭蕉をモチーフに沖縄の情景を歌った歌謡曲「芭蕉布」(1965年)が、何度もカバーされ、今も支持され続けていることからも伺えます。
芭蕉の種類も大きく分けて3つあり、バナナを食べる為の「実芭蕉(ミバショウ)」、繊維をとるための「糸芭蕉(イトバショウ)」、観賞用の「花芭蕉(ハナバショウ)」があります。
食用のバナナ【実芭蕉】
方言名 バナサイ
現在、沖縄で売られているバナナの多くは本土と同じフィリピン産バナナですが、ほぼ沖縄だけで流通している在来種「島バナナ」があります。
島バナナと呼ばれているのは1888年に導入された小笠原種という品種。
台風の影響を受け易いため安定供給が難しいようで、県内でもちょっと高級なバナナになっています。
大きさはフィリピン産バナナとモンキーバナナの中間程度の小振りなバナナで、とても美味。締まった食感の実に濃厚な甘味と、他のバナナにはない「酸味」があるのが特徴で、とてもフルーツらしい味がします。
店頭で売られていた島バナナ。人気はあっても、あまり多くは出回りません。
芭蕉布・芭蕉紙の原料【糸芭蕉】
方言名 ウー
正式名はリュウキュウバショウ。糸芭蕉の茎から取れる繊維は、16世紀初頭には織物に利用されていたという記録があり、沖縄の風土によく合う歴史ある繊維です。
現在は、「芭蕉布の里」と呼ばれている大宜味村喜如嘉(きじょか)と竹富島等で栽培され、織られているそうです。
観賞用【花芭蕉】
バショウ科の中で、苞葉(花を包んでいる部分)や実が美しく、観賞用に栽培されるものを花芭蕉といいます。
真っ赤な苞葉が花のように見えるビジンショウ(別名:ヒメバショウ)やピンクの実がなるピン
クバナナ等があります。
いろいろなバショウの写真
バショウの実。(南城市玉城で撮影)
バショウの花と実。(うるま市石川で撮影)
バショウの花と実。(恩納村で撮影)